紙の削減、そもそも紙を使わないことを宣言し、ペーパーレス化をすすめている企業や団体が増えてきましたが、この取り組みはSDGsの観点から見て、本当に目標達成に貢献できる取り組みなのでしょうか?
今回は、SDGsの観点から見た紙の削減・紙を使わないことが、本当に持続可能な社会につながるのか?について、代替え案と共に詳しく解説していきます。
紙を使わないことが森林を守ることには繋がらない
世界の陸地面積の1/3が森林で、その森林にはさまざまな動植物が暮らしています。
森林は酸素を作り出し、水をたくわえますが、世界では1年間で約470万ヘクタール以上の森が失われており、過去30年間で失われた森の9割は、熱帯地域のものと言われています。
SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」では、生態系を守り再生することや、森林を管理して砂漠化を防ぐこと、土地が悪くなることを止めて、再生することを目指しています。
このことから、主な原料が木である紙の削減を実施する企業が増えていますが、紙を使わないことが森林を守ることに繋がるのかというと疑問です。
ここからは、なぜ紙を使わないことがSDGsの目標達成に繋がらないのか、誤解される理由と、本当の持続可能な社会のためにできることを解説していきます。
なぜ「紙=環境に悪い」と考えられているのか
森林の減少の多くが、農地開拓や製材産業による違法伐採が原因になっており、製紙業界は積極的に植林することで計画的な森林計画を行ってきました。
また、紙の削減を多くの企業が徹底することで、すでに社会に出回っている古紙を有効活用する場が失われてしまいます。
そのため、本当にSDGsの目標達成を目指して、紙の削減・紙を使わないことを徹底するのであれば、以下の点に注目する必要があります。
違法伐採された木を使った紙を使用しない
管理された森林で、計画的に伐採された木から作られた紙を使用する
バージンパルプを使用した紙と、再生紙をバランス良く活用する
これら3点を満たした紙は、主に2つあります。
持続可能な社会を目指すために取り入れたい紙
再生紙
FSC認証紙
再生紙は、すでに社会に出回っている新聞紙や雑誌、ダンボールなどの古紙から、再び新しい紙を作り出した紙のことで、多くの企業や団体が利用しています。
しかし再生紙は、もともと紙であったものを漂白し、繰り返し使用することで、製造過程で多くの二酸化炭素を排出させてしまう他に、再生を繰り返すことで紙の質が劣化してしまうというデメリットがあります。
一方で、「FSC認証紙」は、違法伐採された木を使用せず、管理された土地で計画的に伐採された木を使用した紙のことで、森林の管理だけではなく製造や販売にかかわる全ての工程で管理されている紙です。
そのため違法伐採された木が入り込む隙がなく、バージンパルプを使用するので、紙の質が非常に優れていることが特徴です。
また再生紙とのコストの差がほとんどないことも、大きなメリットになっています。
再生紙とFSC認証紙をどのように取り入れれば良いのか
紙の削減や、そもそも紙を使わない企業では、必ずどこかで紙を使用するシーンがあると思います。
例えば社員の名刺、社内外向けの書類・冊子、顧客に商品を提供する際の宅配袋や紙袋などです。
これらどうしても紙を使用しなければならないシーンで、再生紙とFSC認証紙をバランス良く取り入れることで、すでに社会に出回っている古紙を有効活用しつつ、計画的に伐採する必要がある森林の木を有効活用することが可能です。
具体的には、紙の質が悪いというデメリットがある再生紙は、社内向けの紙に使用するようにして、紙の質が良いというメリットがあるFSC認証紙は、名刺や宅配袋・紙袋に使用する。
このようにしてそれぞれの紙のメリット・デメリットをいかして、本当の意味で持続可能な社会を目指していきましょう。
まとめ
紙の削減、紙を使わないことを宣言している企業や団体が多くなりましたが、すでに社会に出回っている古紙の有効活用の場や、計画的に伐採する必要がある森林の木を有効活用できるようにすることが、本当の意味での持続可能な社会であると言えます。
そのために企業・団体では、紙の削減や紙を使用しないのではなく、シーンに応じて紙の種類を使い分けることが重要です。
例えば、社内向けの紙は再生紙を。社外向け・顧客に商品を提供する宅配袋や紙袋はFSC認証しにしてみてはいかがでしょうか。
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