・再生紙のメリットとデメリットは何か
・再生紙が環境に悪いのは本当か
これらの身近な疑問を解決していきます。
再生紙と聞くと環境に配慮してエコなイメージがありますが、本当に環境配慮されているのでしょうか。
そこで本記事では、環境に精通した筆者が、再生紙を使うメリットとデメリットをわかりやすく解説していきます。
再生紙とは?
「再生紙」とは、古紙から取り出した紙の原料になるパルプを、一部または全部使用して作った紙の総称です。
実は古紙パルプがわずかに混ざっているだけでも再生紙と定義され、その証明として再生紙マークがつけられています。
日本では古くから紙をリサイクルする文化があり、和紙などは使用後回収され、すき直して使われていました。
再生紙は今でも新聞紙・トイレットペーパー・段ボール箱・ノートなどで活用され、広く一般に普及しています。
再生紙の3つのメリット
再生紙のメリットは、3つあります。
・環境保全に繋がる
・消費者でもすぐにできるエコ活動
順番に詳しく見ていきましょう。
ごみの削減に繋がる
再生紙を使うということは、本来なら廃棄してしまう古紙をリサイクルすることに繋がり、ごみの量を減らすことができます。
実はたくさんあるごみの中で、紙ごみは多くの割合を占めています。
つまり、紙ごみを少し減らすだけで大きなごみの削減に繋がるのです。
環境保全に繋がる
木材を大量に伐採すると二酸化炭素の濃度が上昇し、地球温暖化の大きな原因になります。
しかし再生紙を使うと、新しいパルプを使う必要がなくなります。
古紙パルプを原料にして紙を作るので、新しく木を切る必要がなく環境保全に繋がります。
消費者でもすぐにできるエコ活動
ごみの分別やリサイクルと同様に、再生紙の使用は消費者でもすぐにできるエコ活動です。
紙の使用頻度が高い人は、普通紙を再生紙に切り替えるだけで環境保全に大きな効果があります。
環境省も再生紙の利用を推進しており、各都道府県に通達を出し一体となってエコ活動に取り組んでいます。
再生紙の3つのデメリット
再生紙のデメリットは、3つあります。
・普通紙と比較して品質が落ちる
・大量の製紙用薬品を使用
順番に詳しく見ていきましょう。
生産コストが高い
紙を作るとき、一般的には木を切って加工を行うのでそれほど生産コストはかかりません。
しかし古紙をリサイクルするには、古紙の回収から配送までのコストがかかります。
また分別や裁断などにも費用がかかってしまうので、その分生産コストが高くなり再生紙自体の値段も高くなってしまいます。
普通紙と比較して品質が落ちる
再生紙は古紙パルプを使っているので、何度も使うとどんどん品質が落ちてしまいます。
近年の技術進化によって、再生紙の製造技術は飛躍的に向上しました。
しかし木材のみで古紙を使わないバージンパルプ100%の紙と比べると、きれいに印字されなかったり、耐久性が悪くなったりしてしまいます。
大量の製紙用薬品を使用
古紙を回収するとごみやインクが付着しているので、そのまま紙にすると紙自体の色が悪くなってしまいます。
再生紙を普通紙と同等に使えるようにするには、大量の製紙用薬品を使用しなければなりません。
製紙用薬品を使用すると、白さ・光沢・強度が向上し付加価値がつきますが、環境に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
再生紙は環境に悪いって本当?
2007年4月に日本製紙が発表した「古紙100%の再生紙を廃止」は、業界だけでなく世間にも大きなインパクトを与えました。
それまで古紙を100%使うと環境に優しいというイメージが根付いていましたが、日本製紙はそれを真っ向から否定しました。
日本製紙が発表した、古紙100%の再生紙が環境に悪い理由は、大きく2つあります。
- 古紙を何度も再利用しているため再生紙の品質が悪くなっている
- 古紙100%の再生紙を製造する際には化石燃料の使用量が増えて、二酸化炭素排出量が古紙を使わない場合の2倍以上になること
現在は、グリーン購入法の対象基準が古紙パルプ配合量70%以上に取り決められ、環境とコスト両面のバランスを重視しています。
再生紙はもちろん環境に良いですが、問題は再生紙に含まれている古紙の比率です。
適切な配合量で作った再生紙はエコですし、環境にも良いのでしっかりと表示を確認するようにしましょう。
結論:再生紙の使用は配合量をみて判断をしよう
再生紙のメリットやデメリットと、再生紙が本当に環境に良いのかを紹介しました。
再生紙は正しい配合量のものを選べば、決して環境に悪いものではありません。
また木材は限りある資源なので、古紙を再生すると間違いなく環境保全に繋がります。
グリーン購入法対象基準が古紙パルプ70%以上なので、基準を満たした再生紙を購入するようにしましょう。